第二十ニ話 旅立

 
首輪が送られたあとから、心の中にすっぽり穴が開いた。
いつもなら別れたとき、女友達と遊びに行き、
「あんた、彼女と別れたでしょ。」っていじられ、すぐ切り替えるのであるが、
やる気が起きない。そして、力が入らない。先が見えない・・・
唯ちゃんが埋めていてくれた穴が大きすぎる・・・
完全にがら空き状態・・・・別れて知る影響の大きさ・・・

そんな中で、スピリチュアル・ヒーラーの佳代姉さんから電話が来た。
「元気している?お茶でも行かない?」と誘われる。
「今、家出る気がおきないから、家来るんだったらご飯作るよ。」と言うと
「OKじゃ、ご飯食べに行くわ~」と言って電話を切る。
(佳代姉さん、私が何かあったときに必ず電話がくる。今回もわかったか~と思ったのだが・・・)

佳代姉さんが家に入るなり、
「あんた、置いていたらあかんもの持ってるでしょ。」と第一声。
「(わかってはいたが)ないと思うんですが・・・」とかわすも、
「私の目ごまかせると思ってる?」と言われ観念する。

佳代姉さんに首輪を出して、今までの経緯を説明する。

すると・・・
「あんたたち、私の知らないところで刺激的なことやってたのね~
呼んでくれたら、元彼女と一緒に躾てあがたのに・・・」と姉さんが言う。
「姉さんも経験あるんですか?」と聞くと、
「うんあるよ~知らない人からすればあの変態行為って思うかもしれないけど、
やったことある人ににしかSMの良さってわからないからね~SM楽しいよね。」と姉さん。

そこから少しSM談義が続き、
(姉さんも昔は何人かパートナーがいたようだった・・・)

「それでなんだけど、その首輪今すぐ捨てなさい。」と一言。
(理由は色々あるのですが、話が重くなるので省略 ヒントは人の念です。)
「まぁ、しばらくは余波が来るけど、あんたなら吹っ切れるんじゃない?」とあっさり。
「じゃ、ご飯作って~」と言って、焼きそばとお好み焼きを作る・・・

最後にゴミ袋に入れた首輪をマンション下のゴミ捨て場に捨てるまで
一緒についてきて「これでよし!」と姉さん。
佳代姉さんから、「でも、いい恋愛だったんじゃないの?私も未だにSMしたときのことは
覚えてるしね~。」


「物忘れの天下一品の姉さんでもですか?」と私。
「はっきり言うな。もう力にならんぞ~」と言うので
「すいません。」と謝罪。

「彼女の幸せを願ってあげなさいな。そして、感謝とね。」と姉さん。
「そうですね。」と私。その時胸がスッキリしていた。

それから徐々に空いた穴がゆっくり閉じていくのを感じた。

そして、別れた半年後、仕事を辞め、新しい旅立ちをするのでした。
ここからまた破天荒の人生を送るのですがそれはまた別のお話・・・

おしまい